非定型精神病 Atypical psychosis

 現在、精神病は統合失調症と躁うつ病に二分されていますが、そのどちらとも決められない病像を示す一群の疾患が認められるようになり、病状が非定型であるとして非定型精神病と呼ばれています。

症状

症状は多彩で、不眠、不安などの神経症様の症状、元気がない、やる気が出ないなどのうつ症状、気分高揚多弁多動の躁症状、幻覚、妄想、まとまりのない落ち着きのなさや興奮といった精神運動性の不穏興奮、話しかけや外部からの働きかけに対して反応しない昏迷状態、錯乱、意識障害、意識障害に幻覚をともなうせん妄状態、夢を見ているような夢幻状態などがみられます。
 病気の初期には不眠不安などの状態に引き続き抑うつ的なあるいは躁的な状態があり、ついで急性の幻覚妄想状態、精神運動興奮、昏迷などが見られます。この時期は統合失調症と区別が付きにくいのですが、幻覚や妄想に少し違いがあります。
 幻覚は、自分の悪口を言っているのではなく、単に人の話し声が聞こえるとか、神様のお告げであるとかの幻聴が多く、また居ない人が見えたり、無い物が見えたりといった幻視なども見られます。
 妄想も一過性であまりはっきりしたものではなく、統合失調症の場合のような体系的系統的なものはあまりみられません。
 回復後に一部の記憶がなかったり、夢のようだったと述べることもあり、意識障害があったり、夢幻状態であったと考えられることがあります。

家族や周囲の人の対処法

 病気の経過や回復は良いのですが、再発することも少なくはありません。再発予防のために少量の薬物の使用が必要と考えられます。そして、仮に再発しても早い時期に対応できるように定期的なかかわり(通院)があった方がよいと思われます。
 発病に際して、精神的あるいは身体的誘因が多いと言われています。結婚、出産、旅行、転居、職場での地位の異動、対人的葛藤、失恋、家庭の不和、夫婦関係、子供の問題、不眠、疲労、月経、高熱などがあげられています。職場や家庭などの環境に問題があればその調整も必要でしょう。